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1931年 日活太秦撮影所作品
上映時間61分
封切=1931(昭和6)年12月31日
新宿帝都座、他
〈スタッフ〉
原作・・・・・・・・・・・・吉川 英二
監督・脚色・・・・・・・・・伊藤 大輔
撮影・・・・・・・・・・・・唐澤 弘光
〈配役〉
鼠小僧治郎吉、船中の男・・・・・・・大河内 傳次郎
お仙・・・・・・・・・・・・・・・・伏見 直江
お喜乃・・・・・・・・・・・・・・・伏見 信子
お喜乃の父・・・・・・・・・・・・・磯川 元春
仁吉・・・・・・・・・・・・・・・・高勢 実乗
与力 重松・・・・・・・・・・・・・山本 禮三郎
やっちょろの丑・・・・・・・・・・・山口 佐喜雄
〈解説〉
十年間で九十九ヶ所の武家屋敷に忍び込み、三千両余りを盗んだと云う盗賊でありながら、いつしか人を傷つけない義賊として評判となった鼠小僧の物語。芥川龍之介、大佛次郎、直木三十五、菊池寛ら、錚々たる作家が鼠小僧を題材とした小説を書いているが、本映画の原作は吉川英治の短篇小説「治郎吉格子」であり、上方へ逃れた旅姿の治郎吉と彼を慕う二人の女性の恋愛心理を事細かに描いている。
監督=伊藤大輔、撮影=唐澤弘光、主演=大河内傳次郎という当時の日本映画の頂点にあった黄金トリオによる貴重な一篇であり、治郎吉を巡る二人の女性を伏見直江、伏見信子の姉妹が競演して華を添えた。
昭和7年の正月映画として封切られた作品で、新春らしい大剣劇を期待したチャンバラファンの意表を突いて、立ち廻りの殆んどない世話物に仕上げられており、無声映画晩期における伊藤大輔の代表作に挙げられる傑作となっている。 当時はスランプだったとされる伊藤監督であるが、本作で描かれる「治郎吉の追い詰められた姿は、伊藤自身の偽りのない自画像である」とも評された。
また、治郎吉と浪花女お仙との情のからみを江戸弁と関西弁を織り交ぜて表現しなくてはならない弁士泣かせの作品でもある。
(松田豊)
〈略筋〉
江戸を追われて上方へと逃れて行く鼠小僧治郎吉は、その船中でお仙という商売女と出会った。お仙は兄仁吉の為にその身を落とした薄幸な女。一時の気紛れな関係だったが、お仙はすでに治郎吉と離れられない恋情に燃えていた。仁吉は、妹を喰い物にする悪徳漢であり、その上、貧しい娘お喜乃を与力重松に取り持ってその代償を得ようと企んでいた。
お喜乃父娘の現在の窮状が、かつて自分が江戸脇坂家の用人が預かる永代橋架け替えの公金を盗んだことに起因していると知った治郎吉は、今更のように良心の呵責に苦しむ。 そして、いつしか治郎吉は、可憐で純情なお喜乃に心が動揺し、どんな事をしてもお喜乃を救わねばと心に誓うのだが…。
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