語り継ぎたい古典サイレント映画 Vol.8  



 

東への道』(Way Down East)

  原作は19世紀末に作られた甘美な舞台劇であり、かつてはアメリカ中で上演されたメロドラマのスタンダードであったが、グリフィスが映画化しようとした時には、もはや古くさい物語と思われていた。しかし、映画会社の財政的事情からヒット作を作らなくてはならなかったグリフィスは当時としては破格の巨費165,000ドルを支払って映画化権を獲得。自らの〝神業〟によって映画史上の名作に作り上げ大ヒットを飛ばした。『イントレランス』以来のグリフィスのテーマである不寛容、うわべだけの道徳主義に鋭く迫り、その正体を暴露した作品でもあるが、映画に描かれた田園風景は観る人の郷愁を誘い、クライマックスでの有名な流氷上救出シーンはカメラワークとカッティングが奇跡的な映像効果を創り出している。極寒の中、流氷上のシーンに体当たりの演技で挑んだギッシュは、後年、その影響からか神経痛に苦しんだとも伝えられている。


 ニューイングランドの田舎の村で、アンナ・ムーアは母と二人、貧しく暮らしていた。生活に困ったアンナが、ボストンに住む親戚の元へ金の無心に出掛けると、パーティの客としてそこに来ていたサンダースンに甘言で誘惑される。サンダースンは名うてのプレイボーイであり、純情なアンナはいとも簡単に騙され、偽りの結婚式を挙げるのだった。アンナが騙されていたことに気づいたのは、子供を身籠った後だった。間もなく母が死に、そして、生まれてきた愛児も病死してしまう。未婚のまま出産した不道徳な女と罵られ、アンナは追われるようにして故郷を離れるのだった。
 漂泊の旅を続けたアンナは、大農場を営むバートレット家に住込みの女中として雇われて、久方ぶりに心安らぐ日々を送っていた。バートレット家の息子デイヴィッドは美しいアンナを愛するようになり、アンナもまたデイヴィッドの優しさに好意を抱くのだが、忌わしい過去の記憶から、素直には彼の愛を受け入れられない。そんな中、サンダースンがアンナの前に現れた。近所の地主である彼は自身の悪行がばらされる事を恐れ、アンナに村から出て行くように迫るのだった。
 或る冬の日、アンナが子供を産んだ下宿の女主人が村を訪れ、アンナの過去が知れてしまう。聖書の教えを厳格に実行する家主のスクワイアは、アンナに家から出て行くよう命じた。吹雪の中を出て行ったアンナをデイヴィッドは必死に追うが・・・。  

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