語り継ぎたい古典サイレント映画 Vol.6  



 

瀧の白糸』(たきのしらいと)

  原作は『高野聖』『婦系図』などの作品で知られる泉鏡花が、若干20歳の頃に読売新聞に連載した小説 『義血侠血』。掲載翌年の1895年に新演劇の川上音二郎一座が主人公の芸名を題名として上演し評判を得たことから、以降は 『瀧の白糸』 の題名が定着している。代表的な新派悲劇としてこれまでに6回映画化されているが、戦後に製作された作品の中にはハッピーエンドに改変されたものもある。
 『瀧の白糸』の2回目の映画化となった本作は、「女性を描かせたらこの人の右に出る人はいない」と云われた女性映画の巨匠・溝口健二の監督作品であり、溝口の無声映画時代の代表作とされている。
 主演の入江たか子は華族の出身。気品のある美貌と近代的なプロポーションが魅力的で、当時流行った「モダンガール」の代表的な存在であった。阪東妻三郎や片岡千恵蔵など、男優スターが次々と独立プロダクションを作る中で、女優としては初の独立プロダクションである入江ぷろを設立。本作はその第2回作品である。
 相手役の岡田時彦は、無声映画時代を代表する二枚目俳優で、小津安二郎監督にも重用されたが、本作を撮った翌年、30歳の若さで結核のため亡くなっている。
 菅井一郎、村田宏寿、浦辺粂子と言った芸達者な俳優陣が脇を固め、映画史に残る名作となった。


 明治23年の初夏、北陸一帯を巡業する見世物一座の中に、“瀧の白糸”と呼ばれる水芸の太夫がいた。美人で男勝りな人気芸人である。 その白糸が3日ほど前から楽屋で含み笑いを隠せない。 聞けば、馬車に乗った折りに人力車と競争になり、無茶をした馬丁の青年・欣弥(岡田時彦)を思い出していたのだ。 
 後日、欣弥と運命の再会をした白糸は、欣弥が例の人力車との競争が原因で馬丁をクビになり、日々の生活にも困窮している事を知る。 さらに、欣弥は法律家を目指しながら、学費を稼ぐために馬丁をしていたと聞かされた白糸は、自ら欣弥への援助を申し出るのであった。 東京の司法学校へ通うことになった欣弥の為、一座の興行が厳しくなっても必死の思いで仕送りを続ける白糸を支えていたのは、欣弥との手紙のやりとりと彼に注ぐ深い愛情だけであった。
 二年の歳月が流れ、白糸の人気にも蔭りが見え始める。座員の裏切りにも会い、八方塞がりとなった白糸は、苦渋の思いで悪徳高利貸しの岩渕を訪ねるのだが・・・。
 

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