語り継ぎたい古典サイレント映画 Vol. 3 



 

『番場の忠太郎 瞼の母』(ばんばのちゅうたろう まぶたのはは)

 原作は1930年に長谷川伸が書き下ろした戯曲で、現代に至るまで何度となく上演され、映画化もされていますが、本作が最初の映画化作品です。 
  チャンバラが少ないという理由で会社側が製作を渋ったので、監督の稲垣浩は片岡千恵蔵の名を使って長谷川伸に「マブタ、ヤリタシ」と電報を打ち、「マブタ、オーケー」との返答を得たことで何とか会社側を説き伏せ、製作にこぎつけたそうです。
 稲垣は原作に忠実なシナリオで物語を展開していますが、ラストシーンだけは原作と変えています。これに対して長谷川伸は異議を唱えますが、稲垣は「こういう『瞼の母』を作りたいのだ」と押し切りました。本作から2年後に実母とめぐり逢った長谷川伸は、本作に倣って結末を変えた改訂版を書き加えることになります。
 また、忠太郎の父親違いの妹・お登世役として、若干14歳の山田五十鈴が可憐な娘を演じています。
 「小鳥も木の葉も演技をしている」と評された抒情時代劇の決定版です!
                                                


 江州坂田郡番場宿生まれの忠太郎は、幼いころに生みの母と生き別れた過去を持つ渡世人。 しかし三十路を過ぎても母を恋う気持ちは捨てがたく、何処かで聞いた風の噂をたよりに江戸へ母を探す旅に出る。町で老婆を見かけては、母ではないかと声をかける忠太郎であったが、何の手がかりもなく月日が流れていた。 或る日のこと、夜鷹の老婆から柳橋の料亭・水熊の女将おはまが江州番場宿にいたことがあると聞いた忠太郎は、もしやの思いに水熊を訪ねる。
 女将の前に通された忠太郎は、思わず「おっかさん、忠太郎でござんす」と叫びにじり寄るが、おはまは忠太郎を冷たく突き放す。悲嘆に暮れて水熊をあとにする忠太郎は、おはまの娘・お登世とすれ違った。母と忠太郎の経緯を知ったお登世は、おはまを諫め、今度はこちらから兄・忠太郎を探しに行こうと、吹雪の中へ籠を走らせる・・・・。
 

                                        
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